02-07-3;白血病
- 男性は10万人当たり11.4人、女性は10万人あたり7.9人。2015年の全白血病罹患は国内で13800例。死亡は8200例。成人と小児の比率が8:2。成人ではAMLとALLの比が8:2。
- 年齢の中央値は60歳ぐらい
- 急性白血病診断時は10兆から100兆個ぐらいの白血病細胞がある。寛解状態で1億個近く。
- 成人の急性骨髄性白血病では、地固め療法で基本的な治療は終了。リンパ性白血病ではその後も2年間の維持療法が推奨。
- 一般に65歳を超えると化学療法は調整。
- 65歳未満。5年生存率はAML,ALLで40〜50%。APLで80%ぐらい。
分類
- 1976年FAB分類。2001年以降WHO分類。2008年。2016年にその変更。
診断
- ALLと単球性白血病では白血球高値が多く、時に10万/uL以上となる。
表面抗原
- 汎白血球抗原であるCD45の染色性により芽球のみのマーカーを同定し、少数であっても感度よく病型診断に応用できる。
- MPO染色陰性の場合、ALL,M0,M7の鑑別に必須の検査
AML
- 60歳までは35〜40%が治る(CRは60〜85%)。60歳以上では5〜15%(CRは40〜60%)が治る。
治療
- 年齢因子では治療を緩めない方がよい。
- 全体の45.8%が同種造血幹細胞移植を受けている。
- 8;21転座、あるいは16番染色体の逆位の異常を持つcore-binding factor(CBF)白血病では、シタラビンの大量療法を地固めで行うと明らかに生命予後が改善する。
- 抗CD33抗体は、response rateは変わらないが、it reduced the risk of relapse and improved
survival(favorable and intermediate-risk cytogenetic findings)(but not
adverse-risk)
- 本邦の5年生存率は48%。CR到達患者の5年無再発生存(RFS)は41%。
M3
- AMLの10〜15%。30〜50歳代の若年層に好発し、60歳以上では減少。
- タミバロテン(本邦開発)(TAM)、亜ヒ酸(ATO)
M6
形態
- giantoblast(極めて巨大な赤血球)、変形核、分離核、ダンベル型核、Howell-Jolly小体等の形態異常がしばしば観察される。
- histocytoid form;異型性を有する赤芽球の中に、Macrophageに似た形態
M7
形態
- 細胞は細胞質の辺縁に成熟巨核球が血小板産生を行う際と同様な、小型の多数の突起(bleb)を認めることが多い。
ALL
- 小児例の約2割、成人例の約6割が再発を来す。再発ALLに対して同種造血細胞移植を行っても、小児例の40%、成人例の10%ほどしか救命できない。
治療
- CAR(chimeric antigen receptor) ;CD28や4-1BBを介した共刺激による第3世代抗体まで開発
- BiTE(Bispecific T-cell Egnager) ;例;プリナツモマブ(抗CD19,抗CD3)
Ph+ALL(フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病)
- 成人ALLの約30%。50歳以上のALLの50%以上を占める。小児では3〜5%と稀。
- 診断時に白血球数高値、中枢神経浸潤を示すことが多い。
- majorBCR-ABLとminorBCR-ABLの2種類に分かれる。
- イマチニブ導入後CR率約95%、3年生存率約60%に(それまでCR率は成人で約65%、小児で約80%。長期生存は成人で15〜20%、小児では約40%)
- 造血幹細胞移植は根治療法として今なお重要。
慢性骨髄性白血病
- 長期生存の10年生存率が80〜90%以上。
- T315I変異はイマチニブのみならず、第二世代TKIであるニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブに対しても抵抗性であり、同種造血幹細胞移植の検討が必要。(第三世代TKIであるポナチニブが有効であるが、心血管合併症の頻度が高い)
- 一定期間CMR(分子遺伝学的完全寛解)を維持すればTKIを中止できる可能性。
成人T細胞白血病
急性型ATL
高カルシウム血症
- 骨吸収性サイトカインであるparathyroid horomone-related protein(PTHrP)や、膜型receptor actibator
of nulcear factor kappa-B(RANK) ligandと関連する高カルシウム血症が高頻度で見られる。
治療
- 標準;VCMP-AMP-VECP(mLSG15)療法
- 患者の90%以上で腫瘍細胞に陽性であるケモカインレセプターCCR4に対するヒト化抗体製剤(KW-0761);モガムルズマブが期待
HTLV-1感染症
- ATLやHAMの原因ウイルスで、日本に約110万人の感染者が存在し、その約5%にATL、約0.3%にHAM(患者数約3000)を発症する。
- CD4陽性細胞に感染する。潜伏期間は30〜50年。
- HTLV-1の主な感染経路は母乳を介した母子感染で約6割を占める。性交渉は約3割。
- キャリアの母親が母乳栄養で育てた乳児の約20%にHTLV-1感染が認められ、断乳により約3%まで減少する。輸血による感染は1986年以降抗体スクリーニングが行われ、なくなっている。
- 妊婦健診で行われる抗HTLV-1抗体検査はPA法か化学発光法であり、偽陽性がある。必ずウェスタンブロット法による確認が求められる。
- 日本での水平感染は年間4000例ぐらい。
- 本邦に108万人が感染者。ATLの発症は年間約0.1%である(生涯の発症リスクは約5%)(年間1000人が発症)。患者の平均発症年齢は約60歳と高齢である。
HAM
- 時に膀胱直腸障害は病初期より見られ、下肢の運動障害より症状が強く出る場合もある。
HTLV-1ぶどう膜炎
- 無症候キャリアに生じる眼内炎症疾患。片眼罹患と両眼罹患はほぼ同数。
ステロイドが有効で、視力予後は一般的に良好である。
治療関連白血病(t-MN(tehrapy-related myeloid neoplasm)
- therapy-related AML(t-AML),t-MDS,t-MDS/MPN
- AML,MDS全体の10〜20%を占める
- アルキル化剤またはイオン化放射線曝露後に5〜10年で生じるタイプ;非均衡型の染色体異常、5番、7番染色体の欠失が多い。さらに付加異常の複雑型核型になるときわめて予後不良。
- DNAトポイソメラーゼIIに作用する薬剤使用後1〜5年で発症。
- 固形がんでは乳がん後、非ホジキンリンパ腫治療後が多い。(4.7倍)
- 肺特に小細胞がん、乳腺がん、子宮体がんでは治療後の最初の5年が最も多くその後減ってくる。ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫(メルファランの使用が減って減少傾向)では5〜10年後まで、非ホジキンリンパ腫では10年を超えて発症頻度が増加していた。
- 抗がん剤治療は必ずしも変異を導いているものではないらしい。
大顆粒リンパ球性白血病(LGL)
- 大顆粒リンパ球は、成人末梢血単核球の10〜15%を占める大型のリンパ球で、CD3+の細胞傷害性T細胞と、CD3−のNK細胞に大別される。大顆粒リンパ球性白血病(LGL)は、前者のCD3+CD8+細胞傷害性T細胞がクローン性に増殖する疾患であり(T−LGL)、後者のCD3−NK細胞由来大顆粒リンパ球が増殖する病態はchronic
lymphoproliferative disorders of natural killer cells(CLPD-NK)と呼ばれる。